昨年度、メジャーリーグで最優秀選手賞(MVP)を受賞した大谷翔平選手。
27歳にして、世界のトップ選手として活躍する大谷選手はどのようにしてプロのアスリートとして成長したのか?
その成長の秘密をまとめてみます。
大谷選手の成長の秘密は?
大谷選手は、なぜこのような偉業を成し遂げられたのか?
(大谷選手の偉業については、「大谷翔平の凄さを解説 身長、成績、年俸は? 人の成長、子育てのヒントも(1)」をご覧ください。)
人の成長という視点で考えてみました。
大谷選手の持っている力は以下です。
- 明確な目標設定と課題の細分化
- 実行力、日々の努力
- 一生懸命楽しむ
明確な目標設定と課題の細分化
大谷選手は高校時代から目標設定を具体的に行っていました。
よく話題になるのが、高校1年生の時に作成した目標管理シートです。
Source: DIME
このシートは、大谷選手が所属していた花巻東高校の野球部で実際に選手が作成しているシート
つまり、上の写真は大谷選手が実際に高校1年生の時に書いたシートです。
中心の目標として
「プロ野球のドラフト会議(新人選手獲得のための会議)にて12球団中8球団から指名を受ける」
ことを設定しています。
「プロ野球選手になる」などの漠然とした目標ではなく、「8球団から1位指名を受ける」という具体的な目標を設定しています。
プロ野球球団は、12球団(チーム)あります。
そのため、8球団からの指名はめったにありません。
つまり、高校1年生の時に、高校生として圧倒的な能力を持つ選手になることを目標として設定していたのです。
この目標設定シートが良くできていて、目標到達に必要なより小さな目標を8つ設定します。
周囲に書かれている①コントロール、②キレ、③スピード160km、④変化球、⑤運、⑥人間性、⑦メンタル、⑧体づくりです。
この①から⑧までの目標をさらに8つの実践項目に細分化しています。
この目標達成シートですが、ビジネスパーソンにも活用できると多数紹介されています。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
ビジネスパーソン必見!大谷翔平が高校時代に使った「目標達成シート」の作り方 (DIME)
大谷翔平選手が使っていた目標達成シート(マンダラチャート)とは? 作り方、目標達成シートを作る場合の注意点について (カオナビ)
このように具体的な目標設定と課題の細分化、そして具体的なアクションを決めて実践することで、論理的に考え行動することを実現しています。
この目標設定シートは、大谷選手が所属していた花巻東高校野球部で、監督の指導の下、選手全員が作成しています。
花巻東高校は、大谷選手だけでなく、他にも大リーグや日本のプロ野球で活躍する選手を輩出しています。
実行力、日々の努力
いくらよく考えた目標や計画を設定しても、実行しなくては意味がありません。
その点、大谷選手の実行力は素晴らしいです。
何より野球が好きだということがあると思いますが、高校時代から日々の努力を欠かさない人でした。
日本のプロ野球に入っても、二刀流を目指し、ピッチャーとバッターの両方の練習を日々取り組んでいます。
技術的な練習だけでなく、筋力トレーニングなどの体づくりも取り組み、メジャーリーグ選手の中に入っても引けを取らない体になっています。
メジャーリーグに入ってから、肘の手術、膝の手術をしていますが、リハビリをしながらできることを日々黙々とやっていました。
印象に残ったのが肘の手術をした直後にしていた練習です。
運動ができない状態だったので、バッターボックスに立ってただボールを見る練習を真剣に取り組んでいました。
直球や変化球がどのような軌道で来るのか、ただ見続けるという練習です。
このように、今自分にできることをコツコツやっていく、ひたむきな行動力があるのです。
一生懸命楽しむ
大谷選手が小学生の頃、父親がチームの監督でした。
毎日お父さんと野球についての交換ノートをつけていました。
今日やった練習や試合のこと、よくできたこと、できなかったことなどの気づきを書いて、お父さんに提出
お父さんはそれを読み、感想をノートに書いて返していました。
お父さんが強調して大谷選手に伝えていたことは、3つです。
(Source:NHKスペシャル「メジャーリーガー 大谷翔平~2021 超進化を語る~」)
「一生懸命元気に声を出す」
「一生懸命キャッチボールをする」
「一生懸命走る」
「3つのポイントをしっかりやれ。本当にしっかり一生懸命にやれば必ずよいことがある」
お父さんが、大谷選手に伝えていたのは結果を出せではなく、
誰でもできることを一生懸命に、地道にやること
それが成長につながると考えていました。
お父さんは、インタビューで以下のように答えていました。
(Source:NHKスペシャル「メジャーリーガー 大谷翔平~2021 超進化を語る~」)
「ヒットを打ちなさいとか、エラーをするなとか、ファインプレーをしなさいとかっていうことではなくって、
ごくごく誰でもできることを中心に、その3つのことをきちっと練習しようよっていう、私の中の方針といいますか。
そこをまず地道にやっていけさえすれば、成長につながっていくのではないかなって」
逆に一生懸命取り組めていない時は、父親から交換ノートに厳しい言葉が書かれました。
「ベースランニングを全力で走っていなかった。おれの言っていることを思い出して、寝る前頭の中で考えろ」
これに対して、大谷選手は
「わるかったこと 全力で走れていなかった」
「よかったこと 声がいつもより出せていた」
とノートに書き、振り返っています。
大谷選手の日々一生懸命努力する、その実行力に父親の教えが結びついていると思いました。
野球が大好きで、好きな野球で成長するために、「一生懸命楽しむ」が大谷選手の成長の秘訣になっていることが大谷選手のインタビューからも読み取れます。
(Source:NHKスペシャル「メジャーリーガー 大谷翔平~2021 超進化を語る~」)
「1打席1打席終わりながら、今のはダメだったな、ここがよかったなとか
毎日発見がありますし、こう変えればいいのかなって、考えている時間が好きですね」
「仕事ともともとやっている野球の本質的な楽しさどちらが大きいかと言ったら
もともとやっているところがメイン」
「1日1日重ねるたびに足りないところが見えてきますし
まだまだうまくなれると感じさせてくれる
やることがたくさんあるのはすごく幸せなこと」
(昭和生まれの)私たちの子供の頃は、一生懸命やることが大事という価値感が強調されていたように思います。
いつからか、効率的にやる、結果重視、同じ結果が出るなら楽にやろう、という価値感が広まってきたように感じています。
自分の中にもある価値観、親から伝えてもらった「一生懸命」やることの大事さを、大谷選手の姿勢をみてあらためて実感しています。何より、自分の好きなことに「一生懸命楽しむ」姿勢が素敵です。
結果を得ることももちろん大事、でもそれ以上にまずは一生懸命取り組むこと、それが成長につながるという、古くて新しいけどとても大事にしていきたい価値観です。
まとめ
昨年度、大リーグで最優秀選手賞を受賞した大谷選手
人の成長という視点でみると
- 明確な目標設定と課題の細分化
- 実行力、日々の努力
- 一生懸命楽しむ
この3つが大谷選手の成長の大きな力になっています。
結果を得ることももちろん大事、でもそれ以上に
まずは一生懸命取り組むこと、それが成長につながる
という父親から伝えられた価値観を大事にしています。
次回(3)では、そんな大谷選手に両親がどのように関わったのかをお伝えします。