春になるといろいろな生き物が見られるようになり、子どもが捕まえてきますね。
子どもと一緒に「蚕」を飼ってみるのはどうでしょうか?
小学校3年生の理科の学習として1人ずつ飼う小学校もあります。
蚕といえば、2024年に1万円札の顔となり、NHKで取り上げられていた渋沢栄一。
「日本が養蚕業でお金持ちになった」「桑の実を食べて口の周りが真っ赤になった」「屋根裏で蚕を飼っていた」と祖父母から聞いた記憶がある人もいるのではないでしょうか。
その蚕を3年、家で飼った私が飼い方をご紹介します。
カイコの飼育が子どもにお薦めな理由4つ!
カイコは触っても害がない
幼児から10歳くらいまでっててんとう虫、あり、ダンゴムシなど虫が大好きですよね。
中には毒を持っているものや刺されたら痒くなるものいます。
そうは言っても子どもは触りたい。
蚕はちくちくしたものもなく、むしろ滑らかすべすべでなでなでができます。
尾角というお尻部分に突起がありますが、刺したり毒があったりしません。
短期間で成虫になる。
蚕は卵から出てきて約60日で一生を終えると言われています。
カブトムシって長くないですか?
蝶の幼虫だって、蛹になって2週間で蝶になる種類もいれば、半年して蝶になる種類もいます。
短期間で成虫になるということはキャッチ&リリースではなく、一生を観察できるということ!
お家の方も二ヶ月なら観察に付き合おうかなあと思えるはず!
変化が目に見えてわかりやすい。
2mm程の卵からうじゃうじゃと出てきて(息子は「消しゴムの消しかすと見分けがつかない」と言っていました。)、日に日に体が大きくなり、繭を作って蛹になり、蛾として出てくる。
なんて大きな変化なんでしょう。
赤羽末吉さんが書かれた「桃太郎」に「1杯食べれば1杯だけ 10杯食べれば10杯だけ大きくなった」という表現がありますが、その通りです。
一ヶ月で体重は一万倍以上(2mmが女性の指一本ほど)になります。
与えた餌の分だけ大きくなるので愛着が湧き、飽きずに育てることができます。
日本の文化を伝えられる。
5000年以上前から人間が育てている蚕。
少し年が大きい子たち向けにはなりますが、日本を支えた一大産業の歴史を伝えるきっかけにすることができます。
蚕の飼い方と必要なもの
蚕はどこで入手できるの?
通販で買うことができます。
私は「繭と蚕の里山のクラフト便り」https://www.sato-yama.jp/kaiko.html
というところで購入しました。すぐに発送してくださり、質問にも答えてくれました。
1週間コース、2週間コース(その期間で繭を作り出すということ)もあります。
容れ物は?
ゆうパックプラスや宅急便コンパクトに使われているような段ボール箱でもティッシュBOXでも問題なく一生を過ごせます。
ただ、透明な虫かごの方が観察しやすい。
ふたはある方が桑の葉や人工飼料が乾きにくく、犬や猫を飼っている場合は守ることができますが、逃げはしないのでふたがないものでも飼えます。
蚕の餌は?
生の桑の葉です。
桑の葉は公園や川沿いに植わっていることがあります。
でもまず桑の木ってどれ?桑の葉ってどんな形?というところからですよね。
桑の葉の形は桜の葉のような形のものと、3つに分かれた恐竜の足型のような形のものがあります。
5月中旬になると桑の実がつくので見つけやすいです。
ただ、公園に生えていると、たくさん取り続けるわけにもいかないです。
①取ってもよい場所から桑の葉を収穫する。
②WEB上のフリマサイトで桑の葉を出品している方がいるのでそこから購入する。
100枚で500円くらいで見ました。
③人工飼料「シルクメイト」を購入する。
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「シルクメイト」というのは蚕の葉に大豆などを混ぜて作ったペースト状の餌です。
ソーセージのような形で、6ヶ月ほど保存でき、一本で15匹の蚕を育てられるそうです。
送料別で一本900円ほどです。
桑の葉を与えてしまうと人工飼料を食べなくなります。
いろいろな葉っぱを与えてみると、桜の葉やたんぽぽの葉も食べましたが毎日は食べないです。
どれくらい生きるの?
約50〜60日です。
脱皮を4回します。
30〜40日くらい経った頃から繭を作り始めます。
繭づくりに2日。
2週間で羽化。
蛾になって2週間も経たずに一生を終えます。
蚕が孵化する時期によって、春蚕(ハルコ)夏蚕(ナツコ)初秋蚕(ショシュウコ)晩秋蚕(バンシュウコ)と呼び名が違うそう。
繭づくりをより良く観察するには
体が大きくなり、黄色っぽくなると餌を食べなくなります。
繭を作る段階になった幼虫のことを「ずぅ」というそうです。
容れ物に角があれば繭を作ります。
トイレットペーパーのしんを入れてやると中でまゆを作ります。
クッキーが入っているような透明のプラスチックの箱に入れると作る様子が良く見えて面白いです。
成虫になったらどうすればいいの?
蚕は人間が作った自然界には存在しない生き物です。
実は口がありません。
羽がありますが飛べません。
蛾になるとただただ卵を産むために存在しています。
その蛾になった蚕が白くて綺麗なモフモフの天使のように可愛いお顔なのですよ。
雌一匹だけでも卵を産みます。
産んだ卵は?
産んで2日ほど経つと黄色い卵と黒い卵があることに気づきます。
黒い卵は有精卵です。
次の代を望まない場合はこの時にさようなら〜することを勧めます。
我が家は11月末に産んだ卵をそのままにしていたところ5ヶ月後に出てきました。
動いているのを見るとさようなら〜しづらいです。
疑問 顔の模様は?ふにゃふにゃになった。
①蚕がふにゃふにゃになって動かなくなる。
翌日真っ黒になってお空に旅立ちます。
病気のこともあるし、伝染病のこともあるので見つけたら容れ物からすぐに出しましょう。
②顔の模様が新幹線みたいな幼虫と模様がないのがある!
新幹線みたいな模様があるのは「形蚕(かたこ)」、ないのは「姫蚕(ひめこ)」と呼ばれるそうですが、オスメスの判断とは関係なく、ただの模様だそうです。
糸を取ってみたい時は?
①繭ができたら鍋で茹でるか、冷凍庫に入れて、お空に行ってもらう。
②小さな容器に入れた熱湯を入れ、繭が沈むように落とし蓋やマッシャーでつける。
5分くらいすると繭が透明になってくる。
③歯ブラシで糸の始まりを見つけ、ぐるぐる座繰り器がわりのペットボトルで巻いていく。
座繰り機はフリマサイトなどで1万円〜で入手することができます。
ペットボトルに暗い色の紙を巻いておくと糸が分かりやすい。
2日がかりで1000〜1500m程吐き出すのだそうです。
一本丈夫な糸がずっと繋がっているまゆもあれば、糸が細く5cmほどでちぎれてしまう繭もあります。
個性ですね
アフリカでは
アフリカに住んでいた時に現地の子どもたちが箱にmy蚕を入れ友達と見せ合っていました。
糸をとるわけではなく日本でいうカブトムシの幼虫を育てるのと同じような子どもの季節の遊びでした。
ビートルートという赤かぶの葉をやると紫色、ほうれん草をやって育てると緑色の繭ができると言っていました。
まとめ
蚕は小さい子どもでもお世話することができ、生き物の一生に出会える大切な経験ができるもの!
ツヤツヤに輝く絹糸、とっても感動します。