「ほねほね銀行・こつこつ貯金」 子どもの心に響き地域に広がる生涯健康教育 小学校を中心とした実践例

気になる情報

子どもが自ら進んで、栄養、運動、生活リズム、睡眠などを意識して日々取り組んでくれたらいいですよね。

「それは簡単ではないよ」と思われるかもしれませんが、子どもの心に響く健康教育を展開した事例「ほねほね銀行・こつこつ貯金」をご紹介します。

「ほねほね銀行・こつこつ貯金」とは?

ほねほね銀行・こつこつ貯金」は、兵庫県但馬地域を中心に30年以上前から続いている健康教育活動です。

養護教員の山本尚子先生が、小学校で始めた取り組みです。

兵庫県の養護教諭 山本尚子 先生

専用の通帳には、健康増進につながる運動、食べ物、心に関する項目があり、自己チェックで「こつ」(ポイント)を貯めて、健康への意識を高め、健康増進の行動を促します。

「こつこつ貯金通帳」は、こちらです。

(山本先生に、特別な許可をいただき掲載しました。)

 PDFのダウンロードはこちら:

こつこつ貯金通帳(兵庫県養護教諭 山本尚子作成)1

こつこつ貯金通帳(兵庫県養護教諭 山本尚子作成)2

うちの6歳の子どももやってみました。こんな形で自分で振り返り、色を塗ってコツを数えていきます。

親子でやるのも楽しいです。

(小学生になれば、一人で記録できる内容です。)

どうやって始まったの?

山本先生が兵庫県但馬地域に養護教諭として赴任した当初、子どもたちにもっと健康に関心を持ってほしいという願いから始めた取り組みです。

但馬地域の余部小学校で、「ほねほね銀行・こつこつ貯金大作戦」というクイズ劇集会を開催して、保健委員の子どもたちと熱演。運動と食生活が骨の健康につながることをクイズを交えて伝えました。

そのユニークな取り組みが注目され、校内研修会による同僚の先生方との学びや子どもたちのアイデアや希望がもとになり、「こつこつ貯金」通帳を子どもたちと共同製作することにつながります。

校内の保健・給食委員会による「動機づけ」と「意識化」が促進され、学校全体への取り組みとなります。

養護教諭向けの専門誌『健康教室』にも、その取り組みが度々掲載されてきました。

第1章 誌上実践研究会「子どもの心に響き地域に広がる生涯健康教育の展開〜ほねほね銀行・こつこつ貯金の実践に学ぶ」『健康教室』1999年7月増刊号  (大分大学 名誉教授 住田実 編)

住田実「たのしい保険教材の発想(26)(27)〜人体カルシウム銀行〜のびのび貯金大作戦!(前編)(後編)」『健康教室』1991年1、3月号

住田実・山本尚子「たのしい保険教材の発想(32)(33)〜2001年あまるべ宇宙基地・発!『ほねほね銀行・こつこつ貯金』大集会!(前編)(後編)」『健康教室』1991年8、9月号

山本尚子「子どもたちに伝えるために〜『からだの学習』を通して私が学んだこと〜」『健康教室』1995年7月増刊号

他地域への展開、学校保健から地域の健康教育へ

その後は、異動先の但馬地域香住小学校での取り組み、他の養護教諭による兵庫県作用群三日月小学校での導入、学校間の交流が進み、全国の学校に取り組みが広がっていきます。(1999年当時は、約20校が導入)

また、地域の「健康フォーラム」でも子どもたちによる劇で紹介され、大人向けの貯金通帳が作成されました。

出典:『健康教室』1999年7月増刊号 51ページ

すでに「こつこつ貯金」を実践していた子どもたちが「ほねっ子マン」として、地域の家を訪問して、大人たちに「こつこつ貯金」紹介していきました。高齢の方々には大変喜ばれたそうです。

誌上実践研究会(『健康教室』1999年7月増刊号)において、兵庫県保健所 永井 栄養管理士は、

「余部や香住でされている手法は、人に教えてあげたいような素晴らしい健康教育の題材があって、キャラクターがあって、テーマソングがあって、しかも参加型の学習

キーワードは骨づくりで、「こつこつ」なんですけれども、ベースに栄養、運動、生活リズム、睡眠なども全部含んでいますので、生活習慣病予防というところに最後はつながっていきますね

と解説しています。

不登校の際の健康管理にも役立つ?

我が家の子どもは、中学生の時に1年ほど不登校をしていた時期がありました。

生活が昼夜逆転して不健康になることが心配だったので、子どもに山本先生から教えていただいた「こつこつ貯金」紹介して、子どもは自ら毎日通帳に記録をつけていました。

本人の宣言どおり学校には行っていませんでしたが、「こつこつ貯金」のおかげで、家族みんなと同じ時間に起き、(時々、私たちよりも早起きして)河川敷を走って運動をしたり、一緒に朝食を食べて過ごしていました。

通帳にある「1日いちぜん」では、家の掃除をしたり、洗濯物を干したり、夕飯を作ったり、時には親の職場に来て掃除のお手伝いをしたりして、こつこつ貯金を貯めていました。

そして「ハート貯金」の「オリジナル」では、大好きな映画を毎日観て「こつ」を貯めていました(笑)。

「マイナス貯金」の「ゲーム・テレビ( )時間まで」によって、しっかりとゲームやYoutubeの時間を管理していました。

おかげさまで健康を保ちながら不登校期間を終えて、自分の宣言した時期に通学を再開して、第一志望の高校にも合格することができました。

毎日の行動の動機づけ、日々の自己承認(自己肯定)にもつながるように思いました。

まとめ

いかがでしたか?

学校を中心に地域に広がる健康教育の取り組み、大変興味深いですね。

子どもたちが楽しく続けられる「ほねほね銀行・こつこつ貯金」、おすすめです。

子どもから高齢の方々まで、一緒に取り組み健康になっていくといいですね。

事例が詳しく紹介されている『健康教室』は、以下のサイトから購入できます。

第1章 誌上実践研究会「子どもの心に響き地域に広がる生涯健康教育の展開〜ほねほね銀行・こつこつ貯金の実践に学ぶ」『健康教室』1999年7月増刊号

学校での取り組み、個人での実践につながることを期待しています。

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