映画『THE FIRST SLAM DUNK』、子供と観に行ってきました。
いやー、感動しました。
映画のパンフレットを見て、スラムダンク奨学金があることを知りました。
ご紹介します。
スラムダンク奨学金とは?
『スラムダンク』の作者である井上雄彦さんが
「この作品をここまで愛してくれた読者とバスケットボールというスポーツに、何かの形で恩返しがしたい」
という志から始まった奨学金の制度です。
大学やプロを目指してアメリカでプレーをしたいと希望する意思と能力がある高校生を対象に、奨学金が支給されます。
経済的な理由などでアメリカでプレーしたいという夢をかなえられない将来有望な若い選手を支援することで、バスケットボールに恩返しをするという目的で設立されました。
スラムダンクの作品も素晴らしいですが、作者の井上雄彦さんの熱い想いに感銘を受けました。
奨学金の原資は、『スラムダンク』の印税の一部と、有限会社アイティープランニング、株式会社 集英社の拠出金で成り立っています。
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誰が応募できるの?
現在は、高校2年生の男子を対象にしています。
詳しくは、スラムダンク奨学金のオフィシャルサイトをご覧ください。
倍率は?
応募者数が公開されていないので、分かりません。
書類選考で30名が選ばれ、その後セントトーマスモアスクール コーチによる映像の審査により3名が選ばれます。
最終合格者は、セントトーマスモアスクールに練習に参加して選ばれます。
若干名です(これまでは最大2名)。
奨学生の歴代選手は?
これまでに奨学生となった選手の一覧です。
第5回(2012年)は、審査の結果該当者無しとなリました。
とても厳しい基準で選考しているようです。
第1回(2008)
- 並里 成 選手(福岡第一高校)、群馬クレインサンダーズ(B.LEAGUE)
第2回(2009)
- 谷口 大智 選手(洛南高校)、島根スサノオマジック(B.LEAGUE)
- 早川 ジミー 選手(福岡第一高校)、豊田通商ファイティングイーグルス名古屋(NBDL)(〜2014年)
第3回(2010)
- 矢代 雪次郎 選手(流通経済大学付属柏高等学校)、仙台89ERS(B.LEAGUE)
第4回(2011)
- 山崎 稜 選手(昌平高校)、群馬クレインサンダーズ(B.LEAGUE)
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第5回(2012)
該当者なし
第6回(2013)
- 山木 泰斗 選手(鶴岡工業高等学校)、埼玉リプラ(3×3 S League)
第7回 (2014)
- 村上 駿斗 選手(山形南高校)、山形ワイヴァンズ(B.LEAGUE)
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第8回(2015)
- 猪狩 渉 選手(秋田県立能代工業高等学校)、福島ファイヤーボンズ(B.LEAGUE)
第9回(2016)
- 酒井 達晶 選手(北陸学院)、群馬クレインサンダーズ(B.LEAGUE)アシスタントコーチ兼通訳
第10回(2017)
- 鍵冨 太雅 選手(福岡大学附属大濠高等学校)、茨城ロボッツ(B.LEAGUE)
第11回(2018)
- 小林 良 選手(桐光学園高校)、ブリッジポート大学大学院 University of Bridgeport Analytics and Systems専攻
- ホール 百音 アレックス 選手(昌平高校)、青森ワッツ(B.LEAGUE)
第12回(2019)
- 木村圭吾 選手(八王子高校)、新潟アルビレックスBB(B.LEAGUE)
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第13回(2020)
須藤 タイレル 拓 選手(横浜清風高等学校)、ノーザンイリノイ大学(イリノイ州)Northern Illinois University(四年制大学)
モサク オルワダミロラ 雄太 ジョセフ選手(ユニバーシティネブラスカ高校)、新潟アルビレックスBB(B.LEAGUE)
第14回(2021)及び第15回(2022)
新型コロナウイルス感染拡大により派遣中止
第16回(2023)
伊久江 ロイ・英輝 選手(セントメリーズインターナショナルスクール) 、2023年9月渡米予定
その世代の日本代表クラスの選手が選考されています。
帰国後、多くの選手がB.LEAGUEで活躍しています。
日本を代表する一流選手でもアメリカの大学に進学して活躍するのは簡単ではないようです。
奨学金の内容は?
アメリカのプレップスクールに派遣
奨学生は、アメリカのプレップスクールに派遣されます。
プレップスクールは、大学進学の準備を主な目的としたアメリカの高校です。
プレップ(Prep)とは、Preparatory(=準備)を略したものです。
まさに大学進学に向けた学校です。
高校までが義務教育のアメリカでは、普通の公立高校は義務教育を修了させることを基本的な目的としています。
これに対して、プレップスクールは大学進学への準備に力を入れています。
全寮制の学校も多く、「お金持ちの子どもが行く学校」というイメージが強いそうです。
日本に例えると、勉強・スポーツを通じて大学進学に力を入れている私立学校に近いかと思います。
なお、アメリカには予備校はありません。
全米大学体育協会(National Collegiate Athletic Association:NCAA)が主催する男子バスケットボール大会やNBAなどのプロを目指す外国からの留学生もプレップスクールに多く在籍しています。
プレップスクールには、大学コーチなどがスカウトにきます。
プレップスクールのバスケットボールチームで活躍すると、アメリカの大学からの奨学金がもらえるチャンスを得る可能性があります。
プレップスクールで活躍→大学からの奨学金を受けて大学進学→大学で活躍→ドラフト指名
と言うのが、プロを目指す人にとっての1つの道筋のようです。
八村塁選手は、ゴンザダ大学で活躍してドラフトに指名されました。
ステフィン・カリー選手も、デビッドソン大学で活躍して、ドラフト指名を受けています。
全米大学体育協会(NCAA)では、規則として最低限の学業成績をおさめていないと
公式戦でプレーすることができません。英語を母国語としない日本の選手が、すぐに大学に入っても勉強に追いついていけず、勉強の成績が悪く公式戦でプレーできなくなる可能性が高いです。
スラムダンク奨学金は、まずプレップスクールに行き大学への勉強の準備と奨学金取得を目指すという現実的な方法を選んでいます。
奨学生のことをよく考えた制度だと思いました。
期間
4月から翌年5月までの14ヶ月間
プログラムの内容
高校卒業後にアメリカに行き、プレップスクールで勉強とバスケットボールのプレーの機会が提供されます。
それに関わる生活費・学費の全般を支給。返済義務はありません。
奨学金に含まれるもの
- 日本 – アメリカ間の航空運賃
- アメリカ国内の移動に関わる費用
- 派遣中の寮費 (食費を含む)
- 学費
- 保険代
いくらくらいか調べてみました。
派遣先のプレップスクールであるSt. Thomas More Schoolの学費・寮費を見てみました。
学費・寮費:$56,900(=730万円)
留学生用経費(医療保険など):$2,500(=32万円)
オプションのチューター(勉強などの補助):$8,000(=102万円)
これに往復航空運賃15万円を加えると、
なんと総額 879万円です!
自分の子どもが仮に才能があって行かせてあげたいと思っても、1年間だけでこの金額はとても出せる金額ではないですね。
毎年、アメリカで活躍するという夢の実現を目指す若者に奨学金を出し続けていることに敬服します。
奨学金に含まれないもの
- 個人的な小遣い
- 事務局への連絡を除く通信費
- 保険がカバーしない医療費
- 個人的な衣服費
- 個人的な移動交通費
- 寮費に含まれない食費
- その他個人使用によるもの
どこで1年間過ごすの?
コネチカット州にある全寮制の中高一貫の私立学校「セントトーマスモアスクール」です。
広大な敷地を持ち、森と湖に囲まれた自然豊かな場所にあります。
スポーツプログラムが充実しており、野球、バスケットポール、アメリカンフットボールなどのスポーツ留学ができます。
大学進学サポートにより多くの卒業生がアメリカの名門大学へ進学をしています。
ブルックリン・ネッツのAndre Jamal Drummond選手などの出身校です。
まとめ
いかがでしたか?
世界で活躍する機会があるのはとても夢がありますね。
作者の井上さんの情熱を感じますし、何より15年以上継続していることから素晴らしいと思いました。
詳しい情報は、スラムダンク奨学金のオフィシャルサイトをご覧ください。