「みんなはバイバイじゃないの?」転勤族の子のメンタルケアとあるある|5カ国×5人×元教員ママの子育て記録

【後編】

子どもの転校・メンタルケア

長男が5歳のとき、イギリスから帰国することになった。そのことを説明したら、「みんなはバイバイじゃないの?」と聞かれた。友達は誰も引っ越さないのに、自分だけがいなくなる。それが可哀想で、今でも覚えている。

今いるナイジェリアのアメリカンスクールは状況が違う。お金持ちのナイジェリア人家庭を除くと、外国人のほとんどが2、3年で帰国していく。だから「自分だけがバイバイを言う」という特別な感じがない。お互いに「いずれ誰かが出ていく」という前提があるから、受け入れてもらいやすい。これは本当に助かっている。

結婚したときに先輩ママたちに言われたアドバイスで、今でも本当にそうだと思うのが「兄弟はいた方がいい」ということ。知らない土地で友達がいなくても、兄弟同士なら遊べる。学校が変わっても心強いし、お互い頑張ってる姿を励まし合える。寂しくない。逆に第一子は、知らない場所で一番最初にドアを開けさせられる役。何回その「最初の一歩」を踏ませることになるんだろうと思う。

転勤族の「あるある」:良かったこと・大変なこと

転勤族で良かったことは、家にある物を全部把握できること。いろんな家に住めること。「面白い生活が待っているかもしれない」という期待感があること。人間関係も習い事も、仕事も、全部リセットされること。

大変なことは、まず荷造りと荷解き。転校の学校手続き、転出転入の市役所手続き、マイナンバー、パスポート、証明写真、失業手続きに扶養に入る手続き……。一生続けたい仕事があったとしても、それができなくなる。実際、夫についていかずに仕事を続ける選択をする人もいる。戻ってきたらまた契約社員からスタート、ということになるから。子どもが保育園などに入る前はママ友も幼馴染もおらず、寂しい。

子どもの入試にも影響する。国内でも、内申点が中3の1年分だけで評価される県と、中学3年分まるごと評価される県があって差がある。海外にいると、漢字や数学はどうしても遅れてしまい、帰国後は帰国子女枠を使わないならかなり不利になる。

PTAも悩みの種。年度はじめに合わせて引っ越すわけじゃないから、「残り半年あるなら一つ役をやってください」と、平等という名目で残っている役の中から割り振られる。介護や育児や仕事や病気で「できません」と申告しても、それを運営側が認める・認めないを判断するのもおかしいと思う。十分足りているのに平等に一人一役にしなくていい、負担の感じ方なんて、人それぞれだから。やりたい人が気持ちよくやればいい。

他の国に赴任した人の話を聞くと、「あっちの会社はいいなあ」「あの国に行けていいなあ」って羨ましくなることも正直ある。でも、それも含めて割り切る。それが転勤族の生き方だと思っている。

ママ友との付き合い方のコツ

「ここで根を生やそう」と思った場所では、長いおつきあいになる。でも「2年」のように期間が決まっている土地では、波風を立てずに、それなりのお付き合いをする。日本にいたら出会わない職種の人たちに出会えるのでそれはそれは興味深い。

転勤族という生き方は、良いことも大変なことも両方ある。でも、当たり前じゃない生活を選んだからこそ見えてきた景色が、確かにある。

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