世界のどこでも子は育つ〜5カ国×5人×元教員ママの子育て記録〜私の塾との付き合い方

「偏差値を親のお金で買うな」と子どもに言う理由

「塾に行かせたほうがいいの?」って迷うとき、親の頭にはいろんな思いが渦巻きますよね。学校の勉強との両立。ご飯の用意。送迎。お金。そういう迷い、すごく自然だと思います。

学ぶことへの向き合い方も、教育に求めるものも、家庭によって全然違います。ただどの環境でも大事なのは、子どもが安心して学んで、自分なりの一歩を見つけられることじゃないかな、と思っています。

さっ!きれいごとは抜きにして。お金に余裕があるなら、迷わず塾に入れる人が多いはず。仕事から疲れて帰ってきて、子どもが塾で過ごしている間、親も一息つけますからね。というわけで、今日はまずうちの結論から。

我が家のルール

行きたい学校があるなら、まず自分で努力する。努力したくないなら諦める。努力してもどうしても届かない時は、中学3年生の1年間塾を利用してよい。以上、終わり。

小学生のうちはたくさん遊ぶ。学校で頑張ったなら、夜は休憩の時間。イギリス編でも書きましたが、18時に子ども番組終了、店も18時に終了、パパ帰宅、18時に晩御飯、19時寝てるのよ。小学生の夜は勉強漬けじゃなくて、休んで、眠る時間。

子どもにはいつも言っています。「自分の偏差値を、親のお金で買うな」(笑)。

塾なしで勝って、塾なしで負けた私の経験

私は田舎育ちで、塾へ通うには親の送迎が必須でした。中学生になると塾へ通う子もいましたが、教員だった両親は反対。「勉強しに行っても、たむろして遊ぶ時間があって時間の無駄になることもある」「中学校の勉強は、授業をしっかり聞けば十分」というのが理由です。当時の教員は今より忙しかったから、正直、送迎する余裕がなかったのも本音だったんじゃないかと思います。

中学教員だった父は、入学のときに「先生の目を見て授業を聞きなさい」と何度も言いました。テスト前は、内容そのものより、どう学習計画を立てるかを細かく教えてくれました。おかげで田舎の学校とはいえ、5クラス中いつも上位。5人しか進学できない志望校にも、塾なしで合格しました。

でも高校に入ってからは、同じ戦法が通用しませんでした。自宅から片道1時間半、運動部も継続、帰宅後に勉強する体力なんてゼロ。ゴールを「高校合格」にしたせいで燃え尽き、行きたい大学もなく。自分のやりたい道を両親に反対されて、気持ちと進路がねじれてたのも響いたんだと、今なら分かります。母が高3で塾を勧めてくれた頃には、体力も目標もありませんでした。一番の失敗は、目標がなかったこと。これに尽きます。

元塾講師として

大学生になってから、私は家庭教師と、地域では大手だった進学塾で講師をやりました。塾なしで育った私にとって、そこが初めて見る「塾」の現場でした。

正直に言うと、塾講師の仕事、学校の教員よりずいぶん楽でした。もちろん責任はあります。でも塾には基本的に、勉強をやりたい子だけが来て、自分に合う塾を選んで通っています。学校は勉強だけじゃなく生活面や学級全体まで丸ごと抱えるのに、塾は勉強面に集中して見られる。同じ「先生」でも、見ている範囲がこんなに違うんだと驚きました。

塾を利用する目的は大きく2タイプ。一つは学校の授業についていけないから、もう一つはもっと上を目指したいから。同じ「塾に通う」でも、目的はまるで違います。

塾代 vs 親の人生

まずは数字から。2026年度、東京都内の大手集団塾の相場感です(夏期・冬期講習・教材・模試を月割りにした家計感、あくまで目安ですよ)。

  • 小6・中学受験:月10万~15万円超
  • 中3・高校受験:月6万~10万円前後
  • 高1・高2・大学受験:月4万~8万円
  • 高3・大学受験:月8万~15万円超も

推薦対策専門の塾になると、対策費100万円ってこともあります。我が家はキッパリ夏期、冬期講習などは受けません。金額が大きいことと、遠方の帰省を大切にしているからです。

お金に余裕があるなら、必要に応じて塾を使えばいいと思います!ただ、親が自分のやりたいことや生活を全部我慢してまで塾に入れる必要があるのか、一度立ち止まって考えたいところです。今を生きている親にも、親自身の人生があります。子どもを最優先にし続けていると、親の順番は一生やってきません。親がやりたいことをできるのはいつ?

塾に賛成なところ

長男の高校受験で、私は自分が育った時代の常識を、見直すことになりました。当時と今、田舎と東京では、受験環境も情報量もまるで別物です。

強く感じたのは、塾が持ってる高校受験の情報量は、学校とは比べ物にならないということ。塾の講師は、受験情報や学校ごとの状況、本人の成績、志望校までの可能性を見ながら助言するスペシャリストなんだと実感しました。

印象に残っているのは、内申点が上がったときのこと。学校の担任からは具体的な見通しなんて特に聞けなかったのに、塾の講師はすぐに「ここも、ここも可能性出てきましたね」って志望校の選択肢と結びつけてすぐに教えてくれました。1上がったっていう事実を、受験全体でどう捉えればいいのか、そこで初めて具体的に見えました。

私が塾を勧めるポイント、それは「情報代」としてです。塾に通うことで、子どもの学力だけじゃなく、受験の選択肢や見通しを知るための情報にもお金を払っている。長男の受験を通して、塾は単なる勉強場所じゃなく、受験情報を得る場所なのだと見方が変わりました。

私立高校の大学受験対策の手厚さにも、正直びっくりしました。学校そのものがまるで塾みたいに受験を支えている。それに比べて、自分が受験生だった頃の公立高校は、そこまでの支えはありませんでした。塾にも行っていない私は、準備の進め方も選択肢も、模試結果の見方さえろくに知らないまま受験してたのです。今は海外にいてもオンラインで塾の授業が受けられる時代。距離や送迎だけで選択肢を諦めなくていいのは、本当に大きな変化だと思います。

塾に反対なところ

塾に反対な理由は2つあります。

まず一つ目。家でできるから。元教員として、勉強ができない子を見てきて気づいたことがあります。勉強ができない理由はだいたい決まってるんです。集中力が続かない。計画の立て方が分からない。勉強の仕方そのものが分からない。学習が習慣づけられていない。ゲームやスマホで生活リズムが崩れて、睡眠不足で学校の授業を聞けてない。

これって、塾に行けば解決するでしょうか。私は、そうは思いません。これらは基本的なことで、しかも一生涯必要になるスキルです。お金を払わなくても、本来は家庭で教えられることだと思うのです。

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塾に通うと、帰宅が22時になることがあります。そこからさらに宿題が出ることもある。学校、塾、宿題、就寝——これって、もうブラックな生活の始まりじゃないですか?そんな生活で、翌日に学校の授業にちゃんと集中できるのでしょうか。学校は、多額の税金によって運営されています。先生方が授業をしてくれて、子どもたちはそこで多くの時間を学んでいます。その授業に集中できないほど塾や宿題で疲れてしまうなら、学校で学ぶ時間を十分に生かせていないのではないでしょうか。これは大人が作り上げている世界だから、大人の責任だと思うのです。「規則正しい生活を」なんて言いながら、全然健康的とは言えない状況を作り出してるのですから。

 

私が塾に反対する最大の理由は、家族で食卓を囲む時間がなくなるからです。中学生になったら部活からすぐ塾。帰宅は22時。これの繰り返し。

うちには小学生から大学生まで子どもがいますが、ほぼ毎日夕食を一緒に囲んでいます。食べながら30分くらい、その日あった出来事を話して、一緒に笑い合う。ティーンエイジャーもいるのに仲がいいなあ、よく話すなあと感心するくらいです。私自身も家事をしながらではなく、食卓に座って子どもたちと同じ時間を過ごすようにしています。だって子どもたちの中には「妻(母親)は食事を用意する人で、一緒に席に着かなくてよいもの」として刷り込まれますよ。大人気家政婦の志麻さんの記事に「豪華な食事を用意する必要はない、買ったものでもいいから大切なのは同じテーブルを囲むことだ」と書いてありました。猿は毛づくろいでコミュニケーションを取ります。それを人間に当てはめるなら、食卓を囲んで一緒に食べて、笑い合うことだそうです。家族が同じ場所に座って、顔を合わせる。その積み重ねを、私は大切にしています。

締め

今ママが作っている食卓は、子どもたちが将来つくっていく未来の食卓につながっているのです。そう思うと、夕食の時間は、勉強や効率だけじゃ測れない大切な時間に感じられます。

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