前編:保育園ママって、バリキャリだと思ってた。
10歳差のきょうだいで、保育園への見方が全然変わった
うちは一番上と一番下で10歳差があります。だから同じ「保育」でも、上の子たちと下の子たちでは、私の見えていた景色が全然違いました。
上の3人が小さかった頃、保育園なんて考えられませんでした。待機児童問題がとにかくひどかった時代です。偽装離婚をしてまで入園のポイントを稼ぐ家庭の話も、身近で普通に聞いていました。近くに祖父母が住んでいると「助けてくれる人がいる」とみなされてポイントが下がる。正社員が育休から復帰しようとしても、保育園が見つからずに復職できるかどうかすらわからない。そんな世界でした。
保育園に子どもを預けているママのこと、私はずっと「バリキャリの人」なんだと思っていました。私自身は祖父母と同居する家庭で育って、両親は共働きだったのに保育園には通っていない。だから保育園がどういう場所なのか、実はよくわかっていませんでした。
知っておくと楽になる、保育園の基礎知識
本題に入る前に、保育園をよく知らない人のために、ざっくり仕組みを説明させてください。
まず、幼稚園は文部科学省管轄、保育園は厚生労働省管轄。
保育園にはいくつか種類があります。国の基準を満たして(こども何人に保育士一人付くか、広さとか)自治体の認可を受けた認可保育園。基準は満たしていないけれど独自の方針で運営している認可外保育園。幼稚園と保育園、両方の機能を持つ認定こども園。0~2歳児を少人数で預かる**小規模保育(地域型保育)**など。
そして、これが幼稚園と一番違うところなのですが、認可保育園は「市が間に入って決まる」仕組みなんです。個人が「ここに入れたい」と直接申し込んで決まるものじゃない。だから、第8希望くらいまで書く欄があって、希望通りの園に入れないことは普通にあります。
保育料も、幼稚園と違って家庭の収入に応じて変動します。きょうだい割引のルールも独特で、2人目は半額、3人目以降は無料。でもこれ、「その保育園に実際に通っているきょうだいの数」でカウントされるのです。たとえばうちの5番目は我が家では5番目の子ですが、保育園に通っているのはこの子だけだから「1人目」扱いで、保育料は全額でした。そして前年度の所得で決まります。海外赴任で所得が高いので(学費や車の購入費、住居費など差し引いたら実際はマイナスになることもあるのに)保育園の最高額の決定を受けました。社長か!我が家5人目なのに割引なし、実際はかつかつなのに一年間社長級の保育料。
教員に戻るチャンスを、自分から手放した話
3人目が生まれてしばらく経った頃、小学校の担任の話をいただきました。とても嬉しくて、話を聞きに行きました。
でも、両親に反対されました。教員の両親が、「こんなに小さい子を抱えて担任なんてできない」と。3人を預けられる保育園を見つけるなんて、当時の状況では到底無理でした。それに、反対されると私もすぐに「子ども目線」になってしまって、自分のキャリアを後回しにしてしまう。これ、私の悪いくせです。
フルタイムで働くために、保育園を探した話
5番目が生まれてからフルタイムで働くことになって、初めて本気で保育園を探しました。市内には保育園が50ほどありました。でも、空いていたのはたった2園。しかもそのうち1園はすぐに埋まって、残ったのはビルの一室でやっている認可外保育園ひとつだけ。
当時、幼稚園は月々3万円。でもその認可外保育園は月7万円、給食費が別途1万円。手取り18万円の仕事をするために、子ども一人の保育料に8万円払う計算でした。
ちなみに4番目は月3万円の幼稚園通い。朝バタバタして行って、2箇所に子どもを預け、他人の子をみて、手取りは7万円。なんだろう、この社会の仕組み、、、。
遠方に住む母が見かねて「手伝いに行こうか」と言ってくれたことがあります。でも、手伝ってくれる人がいると市の優先順位が下がってしまう。だから頼れない。いつまで8万円を払い続けることになるかもわからないまま、とりあえず入れないといけない。入れなければ、内定も辞退することになるからです。
ちなみに、これは2019年の幼保無償化より前の話です。今は制度が変わって、3~5歳児クラスは基本的に認可・認可外問わず無償(認可外は月3.7万円まで補助)。0~2歳児クラスは住民税非課税世帯のみ無償です。給食費などは今でも実費負担ですが、あのときの「手取り18万円で保育料8万円」という状況は、今の家庭なら大きく変わっているはずです。それだけでも、少しほっとします。