うちの「チーム」は、夫婦の二人じゃない
「チーム育児」というと、夫婦二人が協力し合う育児を指すことが多いと思います。でも我が家の場合、本当の意味での「チーム」です。両家の祖父母も巻き込んだ、まるっと総力戦です。
夫が本気になったのは、4人目妊娠がきっかけ
正直に言うと、夫ががっつり育児に参加してくれるようになったのは、4人目を妊娠してからでした。夫としては、自分の母親が専業主婦だったこと、私もその頃は専業主婦だったこと、深夜帰りが当たり前の仕事だったこと、週末は趣味の草野球に行っていたことから、「まあ大丈夫だろう」とタカをくくっていたようです。それが4人目の妊娠でついに「これはやばい、家が回らない」と気づいたらしく、私が買い物に出た隙に、珍しく3人目をおんぶしながら掃除機をかけている夫を見て、近所のママ友が「素敵なパパですね」と感心される運がいい夫。……遅くないですか、と今でも思います。その頃から夫は「マンツーマンはもう無理だ、ゾーンディフェンスだぞ」と、しょっちゅう言うようになりました。バスケの戦術のイメージでした。
子育てで一番きつかったのは、正直2人目が生まれた直後です。何もできない赤ちゃんが二人。夜は、翌朝仕事に行く夫の睡眠を気遣って一人で世話をし、朝になると「人手が借りられる〜」「年子よりマシ」「双子よりマシ」と、呪文のように唱えて自分を励ましていました。
「うちのスタメン」チーム育児、始動
3人目が生まれる頃から、我が家の「スタメンチーム育児」が本格的に始まります。長男は立派にお手伝いをしてくれるようになり、妹と遊んでくれる、「ちょっと見てて」「〇〇取ってきて」で助かる。筋力のないおばあちゃんでも、目さえあれば十分戦力になる時期、核家族の大変さを身に沁みて感じました。
ちびっ子2人に3人目をあやしながらの毎晩のご飯作りは、本当に大変でした。ちょうどままごとが大好きな年頃だったので、いっそ本物をやらせてしまえと、毎日夕方4時になると、ちゃぶ台に4歳と2歳の分のまな板と包丁をセット。「今日はナスをこの大きさに切ってねー」「人参の皮、ピーラーでむけるかな?」とおだてながら、私は3人目を抱っこして見守り、切ってくれた野菜を炒めるなり味噌汁にするなりして、なんとか毎日を乗り切っていました。
きょうだいはずっと2歳差で幼稚園・小学校・中学校に上がっていくので、下の子が不安な時も、忘れ物をした時も、いつも上の子が頼れる存在でいてくれました。長男は上3人のことを古参、下の二人を新入りと言います。
パスポート6冊、迷子防止のチームプレー
南アフリカへ渡航するとき、パスポートの数はなんと6冊。夫はまるでツアーコンダクターのようでした。空港のセキュリティチェックで、子どもたちに「リュックをベルトの上に置いてね」と声をかけた私。自分の荷物も下ろしたら、それは実はおんぶしていた4人目の子だった、なんてこともありました。パスポートコントロールをやっと通過して荷物を整理していたら、表情一つ変えない係の人が急に慌てて「すみません、お子さん一人忘れています!」と教えてくれたことも。ゲートを一人通っていない子が、置いていかれていたのです。それ以来、子どもたちにペアを組ませて、常に人数確認をする癖がつきました。迷子防止のお揃いの服は、3人までは可愛いのですが、4人になると正直ちょっと恥ずかしい。パパは外出のたびに、子どもたちがすぐ見つけられるようにと、いつも緑色のTシャツを着ていました。
5人目が生まれてから、朝の分業体制
南アフリカで5人目が生まれてからは、朝がさらに大変になりました。長男が5人目を抱っこしてあやしてくれている間に、私がちびっ子たちの朝ごはんと身支度をし、3人分のお弁当は毎日パパが担当。おかげで5人目は、私よりも長男に懐いています。
多子家庭では、上の子が「もう赤ちゃん産むのやめて」と負担や寂しさから言うことがあるとよく聞きますが、うちでは誰一人そう言わず、みんな喜んでくれました。これは本当に嬉しいことでした。
「みんな〜」でつながる、大人になってからのチーム
うちの家では、私はよく家の中で「みんな〜」と声をかけます。うちのチーム育児が素晴らしいと自分で思うのは、幼い頃の世話だけで終わらないところです。中学生、高校生、大学生、大人になっても、誰かが壁を乗り越えようとしているときは、家族全員がサポートに回ります。
長男が学校に足が向かなくなった時期があった時も、「長男と親の問題」として抱え込むのではなく、きょうだい全員に状況を説明し、協力してもらいました。受験勉強も、上の子が下の子に教えます。3人目が推薦入試を受けたときは、2週間毎晩、家族全員でプレゼンの練習を見て、アドバイスをし合いました。私が転職を考えたときも、2人目の高校受験がうまくいかず私が思わずブチ切れたときも、家族会議。夫が単身赴任になったときは、週1回の電話をみんなで続けました。お互いを信頼し合い、親は子どもを子ども扱いせず、きちんと話を聞く。誰が今、一番サポートを必要としているか、家族みんなが分かっています。子どもたちも、親の苦労をちゃんと分かっています。
家族の歯車が一つずれると、玉突きのようにいろんなハプニングが起こりますが、そんな時、上の二人は「じゃあ俺が迎えに行くよ」「私がご飯炊いとくよ」と、なんとか元に戻してくれます。「えー、だるい、俺知らなーい」なんて誰も言いません。「今じゃなくても、これからの家族にとってそれが一番いい」と、感覚的に分かっているのだと思います。
猿の毛繕い
猿にとっての毛繕いは、人間で言えば「一緒に笑うこと」にあたるのだそうです。驚かれるのですが、大学生や高校生になった今でも、晩ご飯の時間は30分ほど、その日あった出来事を話しながら自然に家族で過ごします。冬になれば床暖房が1箇所だからかみんなでぎゅっと居間に一緒にいます。小学6年生になったらアイロンがけ、中学1年生になったら洗濯物干し、そして週に1回、7人分のご飯作り。子どもたちは家事の大変さも、感謝することも、身をもって知っています。私がゆっくり教えてあげられるうちに教え、慣れてくれば、私は出かけて、帰ってきたらご飯ができている。週末をゆったり過ごせることさえあります。これが、子どもたちが将来つくっていく食卓の練習でもあるのだと思っています。
今はナイジェリアに来て、長男とは離れて暮らしていますが、わずか20歳の彼は、妹の大学受験を気にかけて車を出してくれたり、「バツイチと間違われる」と笑いながらも、世帯主として立派に家族を支えてくれています。
父の役割、母の役割、夫婦や親子の関係、大人への信頼、自分の気持ちを大切にすること、それを学ばせたい。いつか一人ずつ羽ばたいてくでしょう。でもその後も繋がってるはず。それが、我が家のチーム育児の、一番の自慢です。